Ⅰ【カスタマーハラスメント基本対応方針策定の経緯】
私たち株式会社ケアネット徳洲会は、高齢者の健康と生活を守る企業として、その想いをカタチにする高齢者介護の総合企業です。『断らない介護』をスローガンとし、地域住民の一員としてその役割や責任を積極的に果たしていく事で、地域社会への貢献とご利用者様、ご家族様(以下、お客様という。)の「笑顔」を増やす事を使命として、日々事業活動を取り組んでおります。
今後も地域の皆様、お客様はじめ、当社に関連する全ての方々から頂くご意見やご指摘には真摯に向き合い、対応し、業務改善を図りながら提供するサービスの質の向上に繋げて参ります。
また、そのためには、介護人材を安定的に確保し、当社が雇用する全ての介護職員等(以下、従業員という。)が安心して働くことのできる職場環境・労働環境を整えることが必要不可欠であると考えており、これを通じて従業員の離職防止や生産性向上を図り、企業価値の向上に寄与するものと位置づけています。
しかしながら、近年、介護現場では、お客様による従業員への身体的暴力や精神的暴力、セクシュアルハラスメント等、少なからず発生していることが様々な調査で明らかとなっています。これは、介護サービスは直接的な対人サービスが多く、お客様宅(居室)への単身の訪問やお客様の身体への接触が多いこと、業界として職員の女性の割合が高いこと、生活の質や健康に直接関係するサービスであり、安易に中止できないこと等と関連があると考えられています。
そこで、このたび、従業員が安心して働くことができるハラスメントのない労働環境を構築するために、お客様等からのハラスメント(カスタマーハラスメント)基本対応指針を定める事と致しました。
何卒ご理解の程、宜しくお願い申し上げます。
Ⅱ【カスタマーハラスメントに対する基本方針】
弊社は、共に働く仲間である全従業員の人権を尊重し、従業員が気持ち良く働くことのできる職場環境を実現するため、お客様からの過度な要求や言動、当該指摘内容に妥当性が無い場合はもとより、妥当性がある場合であっても、その手段や態様が著しく悪質性が高いとの判断に至った場合は、カスタマーハラスメントと認定し、毅然とした態度で対応し、従業員の保護、職場環境の改善を最優先に努めるとともに、これを通じて業務効率の向上や従業員満足度の向上を図り、持続可能な事業運営に貢献します。
Ⅲ【カスタマーハラスメントの定義及び対象となる行為について】
カスタマーハラスメントの定義
カスタマーハラスメントと認定されるには、下記(1)~(3)の全ての要件を満たす必要があります。
(1)お客様、取引先様、その他の利害関係者様が行うこと。
・ 「お客様」には、今後利用する可能性がある潜在的なお客様も含むと考えられます。
・ 「利害関係者様」は、お客様、取引先様等の例示している者に限らず、様々な者が行為者として想定されることを意図するもので あり、法令上の利害関係だけではなく、事業所等の近隣住民等、事実上の利害関係がある者も含むと考えられます。
(2)社会通念上相当な範囲を超えた言動であること。
・ 権利の濫用・逸脱に当たるようなものをいい、社会通念に照らし、当該お客様等の言動の内容が契約内容からして相当性を欠くもの、又は、手段・態様が相当でないものが考えられます。
・ 「社会通念上相当な範囲を超えた言動」の判断については、「言動の内容」及び「手段・態様」に着目し、総合的に判断することが適当であり、一方のみでも社会通念上相当な範囲を超える場合もあり得ることに留意が必要です。
・ 事業者又は従業員側の不適切な対応が端緒となっている場合もあることにも留意する必要があります。
・性的な言動等も含みます。
(3)従業員の就業環境が害されること。
・ 従業員が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどの、当該従業員が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを意味します。
・ 「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、「同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とすることが適当であると考えます。
・ 言動の頻度や継続性は考慮するが、強い身体的又は精神的苦痛を与える態様の言動の場合は、1回でも就業環境を害する場合があり得ます。
カスタマーハラスメントの代表的な行為類型
顧客等から就業者に対する行為の中で、カスタマーハラスメントに該当する可能性がある代表的な行為類型は、次のとおりである。ただし、就業者の業務内容によって顧客等との接し方が異なること、実際に発生した個別事案の状況等によって判断が異なる場合もあり得ること、行為類型は限定列挙ではないことなどに十分留意する必要がある。
(1)従業員への身体的な攻撃
例:物を投げる、唾を吐く
(2)従業員への精神的な攻撃
例:人格を否定するような言動を行う
(3)従業員への威圧的な言動
例:声を荒げる、睨む
(4)従業員への土下座の要求
(5)従業員への執拗な(継続的な)言動
例:⾧時間、必要以上に厳しい叱責を繰り返す
(6)従業員を拘束する行動
例:⾧時間の居座りや電話などをする
(7)従業員への差別的な言動
例:人種、職業、性的嗜好などに関し侮辱的な言動をする
(8)従業員への性的な言動
例:つきまとい行為、わいせつな言動をする
(9)従業員個人への攻撃や嫌がらせ
例:顔や名札を撮影しSNS に投稿する
Ⅳ【カスタマーハラスメント未然予防策】
お客様が理不尽な要求をする「カスタマーハラスメント」について、従業員を保護するための具体策として対応マニュアル策定や従業員から相談を受ける社内体制の整備を行います。
(1)事業者として、基本方針(本指針)を策定・公表しカスタマーハラスメントに
対する基本的な考え方やその対応について明確にします。
(2)社内相談窓口を設置します。
(3)発生時の対応マニュアルを整備し手順を構築します。
(4)従業員に対しカスタマーハラスメントに関する教育や啓発活動(例:ケースス
タディ研修や外部専門家による講習)を定期的に実施し、対応スキル向上を目指
します。
(5)お客様に対し、当社のハラスメントの取り組みについて、わかりやすい表現を
用い、理解が深められるよう丁寧に説明します。
Ⅴ【カスタマーハラスメント発生時対応策】
お客様からハラスメント行為を受けた場合、従業員には直ちに対応責任者に報告・相談するよう指導しております。弊社は相談を受けた際は当該行為に対して組織的に対応を行います。
(1)担当部署においてカスタマーハラスメントに該当するか否か、確かな証拠・証言に基づき慎重に判断します。
(2)当該被害にあった従業員の保護・ケアを最優先とし、相談したことで不利益を被ることの無いよう最善を尽くします。
(3)同様の問題の発生を防ぐため、定期的に対応方法を見直し、取り組みの改善を行います。
(4)社内専門窓口において事実関係の正確な確認を行った結果、弊社が悪質なハラスメント行為であると認定した場合は、利用の停止及び解除、顧問弁護士や警察への相談、連絡、通報といった措置を講じるとともに、法的リスクを最小限に抑えるための指針を見直し、トラブル未然防止のための継続的な体制強化に努めます。
令和7年4月1日 制定・施行